売れる接客・販売員は「なぜ人が物を買うか」知っている
こんにちは、ふじモンです。
前回はお客さんを知ることについて話しました。
今回は、なぜ人が物を買うのかということについて話します。
初心者の悩みで一番大きいものは、「売れなくてなやむ」というものです。
売れてたら悩みの大半は気にならなくなります。
とりあえず会社で褒められるし、いろいろと多めに見てもらえることもできるようになるからです(それを目的にしてはだめですよ)。
この記事は僕の接客・販売系の記事の中で一番重要なところです。
この考えをマスターしたら、空が晴れるような気分になりますよ。
なんせ方向性が明確になるからです。
今までどこに進んでいったらいいかわからなかった状態に光が刺します。
初心者の方は売れない理由もわからなければ、売れる理由もわからないんですよね。
売れる理由がわかれば、売れない理由はその逆ですから簡単です。
その理由はお客さんひとりひとりによって違いはありません。
みんな同じ理由で売れるし売れないんです。
この記事ではその規則性を学びます。
それでは、見ていきましょう。
人が物を買うと決断する瞬間
なぜ人は物を買うのでしょうか?
それは、ある「バランス」をとるためなんです。
そのバランスとはなんでしょう?
それは、価値と価格のバランスです。
価値と価格が折り合えば、人はものを買う
人には欲望があります。
空腹を満たしたい。
飲んで気分をはらしたい。
おしゃれをしたい。
本当にたくさんの欲望があります。
この欲望が「価値」です。
欲望には価格があります。
おにぎり1個100円
ビール一杯250円
靴一足5000円
これが価格です。
価値に見合った価格が商品に付けられていたばあい、人は物を買います。
なるほどそうか。
確かにわかったけど、この知識だけでは売れません。
あなたもこんな疑問が浮かびませんでしたか?
- 価値って人それぞれちがうくね?
- 払える金額も人によってちがうくね?
- 結局その人の価値と払える金額がわからないと意味なくね?
そうです。その通りです。
「価値と価格が折り合えば人は物を買う」という言葉は、ちょっとした金言みたいなものです。
この言葉だけでお客さんに話をしようとすると、行き詰まります。
むしろ邪魔になるでしょうね笑
この言葉を正しく知るためには、「価値」と「価格」について自分の中で定義しないといけません。
では、まずは「価値」から見ていきましょうか。
価値とは生産性が高い状態のこと
価値とは生産性のことです。
生産性とはなんでしょう?
生産性(せいさんせい、Productivity)とは、経済学で生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを指す。 一定の資源からどれだけ多くの付加価値を産み出せるか
一定の資源からどれだけの付加価値を生み出せるか。
労力が同じでより高い成果を生み出せる状態が生産性の高い状態です。
それが価値の高い状態です。
逆の状態も考えられます、
同じ成果を生み出すのに、より小さな労力で済んだ状態も生産性が高いです。
これも、価値が高い状態を言えるでしょう。
そのひとがある目的を達するために、することが同じでより高い成果をあげられる。
もしくは、より小さな労力で同じ成果があげられる状態が「価値の高い」状態なんです。
少ない労力で同じ成果をあげられる例
たとえ話をしましょう。
あなたも洗濯はしますよね?
洗濯という仕事は、以下の手順を踏みます。
- 洗濯機に洗濯物をセットして回す。(3分)
- 洗濯物を干す(15分)
- 洗濯物をたたむ(10分)
普通にすると、計28分の仕事です。
より短い時間で洗濯を完了させたいですね。
では、洗濯乾燥機を用いたらどのようになるでしょう。
- 洗濯機に洗濯物をセットして回す。(3分)
- 洗濯乾燥機に洗濯物をセットする(3分)
- 洗濯物をたたむ(10分)
計16分の仕事になりました。
洗濯をするにさいして、「自分の時間」を投入するという事実に変わりはありません。
ですが、投入する時間を減らしても同じ成果をあげることができます。
より少ない労力で同じ成果をあげることができるので後者の方が価値の高い状態です。
その価値を上げるのに必要な商品が、洗濯乾燥機なのです。
どうでしょう、価値が高いとは何か実感できましたか?
28分かけていた仕事が16分で終わるのは魅力的です。
価値は相対的。お客さんの現状を知らないとわからない
このように「その人がいま目標達成するまでにどんなリソースを割いているか」しると、価値をみつけやすくなります。
「価値を見つけるために、現状へベンチマークをつける」と言い換えることもできます。
お客さんのことを知ってからこそできることです。
お客さんを知るということに関しては、こちらの記事でも詳しく書いています。
合わせて読んでみてください。
「価値と価格が折り合えば人は物を買う」という言葉だけでは売れない理由がわかりましたか?
売れない接客・販売員はたいてい、価値がよくわかってないです。
確かに価値は人によって違います。
だからその人の価値が何かを知るために、現状を聞き出す必要があるんです。
要はそれがわからないということはヒアリング不足なんです。
やみくもに製品の特徴を話しても相手には伝わりません、
人の耳は都合のいいようにできているので、自分に関係のない話は全然あたまに入ってこないんです。
それはつまり、あなたはその人にとって「価値のない話をしてる」ことを意味します。
あなただって「自分はそんなこと望んでないのにな」という話をされてもつまらないでしょう?
だからお客さんの話をまず聞くんです。
聞くだけではダメですよ。
「何かうちのサービスで生産性を高めるヒントはあるか」意識しながら聞くんです。
売れない人はただ話を聞いて頷くだけです。
売れる人は提案につなげられるものがあるか意識しながらききます。
違いはそこにあらわれるんです。
価格を下げる方法
ここまで価値について話しました。
価値を説いた目的は、商品の価値を上げるためです。
価値が上がり、価格が下がると2つが交差します。
交差した瞬間、それはお客さんが商品を買う瞬間です。
商品はたただポンとお客さんの前に出しただけでは売れません。
あなたが商品について話すと、お客さんにとってその商品の価値が上がるんです。
それが価値をあげる行動です。
でも、価値を上げるだけでは売れないときがあります。
それは、もともとの価格が高すぎるばあいです。
価値をMAXまで上げても、購入されない時もある
あなたはネットショッピングはしますか?
ネットを見ると欲しい商品の情報が沢山手に入りますよね。
私は欲しい商品がある時、ネットでかなり詳細まで調べます。
もうこれ以上調べることはないと言うくらいです。
私の中では、もう必要な情報は全て揃っている状態です。
その商品の価値がMAXにまで高まっている状態なんです。
でもそれでも買えないときがあります。
価値はもうこれ以上ないくらい高まってるのに、なんででしょう?
それは価格が高いからですね。
僕はもうその商品が欲しくて欲しくてたまらないんです。
毎日amazonやメルカリをチェックしてます。
妻には『そんなに悩むなら買ったら?』と呆れられます。
それでもまだ買いません。
『ここまで下がったらな~』と言うところまで行かないんですね。
この状態はお客さんも同じです。
もう少しで買いそうなのに、価格だけが問題で購買までいたらないんですよ。
この状態は結構もったいないです。
なぜなら、お金で解決できることですからね。
お金で解決できることは、調整さえできれば一番かんたんな解決方法です。
だからこんなお客さんがいたら上司と相談してみましょう。
ただ値段を下げる以外にも対応方法があるかもしれません。
次の項から、ただ値引くだけでない方法をお伝えします。
商品点数を上げて、合わせた利益から値引きする
あなたは粗利という言葉をご存知ですか?
粗利とは商品の購入代金から売上原価を引いた後の金額です。
一般的にこれは会社の利益の部分です。
会社が儲かるためにはこの粗利を積み重ねていかないといけません。
逆に言えば粗利を積み重ねれば、会社は儲かるんです。
もっとつっこんで、粗利の「粗」ってどういう意味だと思います?
販売現場のレベルで考えると、最終的な利益の金額ではないという意味です。
どういうことかというと、「実際の利益はこっからもうちょい減るよ」っていう意味です。
ということは、減らしていいということですね。
どういう減らし方をするのか?
それは、購入を迷っているお客さんに決断してもらえるくらいに引いてしまいましょう。
ただ、やみくもに減らしてはダメです。
したたかにやるためには、相手をまずたててこちらもたてるようにしましょう。
例えば、関連商品を購入したら目的物が安くなるようにします。
車のオプションをついかしたら、車の本体代金を安くするとか。
そういったやりかたです。
お客さんとしては目的物に関係のある商品がついでに買えちゃうわけです。
こちらとしてはただ値引きするだけでは利益が減るので、関連商品で利益をあげてから痛みが少ないようにできます。
あとちょっとのところで悩んでいるお客さんには、上記の戦略を一回試してみてください。
結構効果がありますよ。
上司もただの値下げより商品点数が増える方が応じやすいでしょう。
タイムセール・期間限定商品を作る
人間は自分で責任を取りたくない生き物です。
特に痛みを伴うものやリスクを伴うものはなおさら。
「こうなってしまったのは自分のせいではないんだ」という大義名分が欲しいんです。
タイムセールや限定商品はそのたぐいです。
買って失敗した時にいいわけがたつからですね。
「セール品だったから・・・しょうがないか」
「限定っていうから買ったのに・・・!なによこれ!」
買うと決めたのは自分なのに、この二つの言葉があれば責任は自分にないと言うことができるようになるんです。
なんという魔法の言葉。。。
逆に言うと、「タイムセール・期間限定商品」というだけで買う理由がたつんですよ。
これを利用しない手はありません。
amazonはしょっちゅうタイムセールをやってます。
日替わりどころではありません。
分替わりでやってます。
みてたら楽しいですよ。
あたかも自分のためにしてくれてる気持ちになります。
amazonはレビューがとにかく多いですよね。
実際に買った人の感想は本当に強いです。
特に自分と同じような悩みを抱えている人のレビューは刺さります。
勝手に顧客どうしで価値を高めあってくれるんです。
十分に価値が高まったところで、「タイムセール」
そりゃかうよ!
かっちゃうよ!
ずるいな〜ほんと・・・
商売人の鏡であるamazonさんから僕らも学びましょう。
冗談はさておき、実際の現場でもamazon風商品開発はできます。
顧客来店数が多い日に向けてセット品を企画したり。
時間帯を絞ってタイムセールをしたり。
商品の価格を変えて見栄えを変えるだけでも立派な商品開発です。
前日までに検討になった顧客にセール情報を伝えるのもありですね。
「amazonの欲しいものリストに入れておいたら、◯◯%値下げ情報がきた!」みたいなイメージで。
あくまで商品の価格は時価です。
お客さんは業界人じゃないから毎日商品の値段はチェックしません。
そこへあなたが親切に値下げ情報を教えてあげるのは立派な価値です。
分割払いの提案をする
高額な商品を一括で払うのはきついですよね。
お客さんの買いたい気持ちはもうMAXです!
でも手持ちがない。
関連商品もセットで購入することになった!
でも手持ちがない!
期間限定だから今日買わないと価格が変わる!
でも手持ちがないんだしょうがないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!
そんな方には分割購入をすすめましょう。
提携のローン会社やクレジットの分割払いサービスがありますよね。
決済サービスの選択肢をさらっと説明できると頼りにされますよ。
回数や金利など、事前にしらべておきましょう。
話し方にもコツがあります。
お客さんがその商品を使う頻度に合わせて価格を伝えてあげるんです。
毎週使うものなら「週◯◯円で使えます」。
毎日使うものなら「1日◯◯円で使えます」。
そして身近なものと比べます。
「週◯◯円ならガソリン代より安いですよね!」とか。
「1日◯◯円ならペットボトル飲料と同じくらいですよね!」とか。
身近なものと比べて同じかそれ以下だと人は体感的に安く感じます。
分割払いは、値引かずにやすく感じさせる魔法の手段です。
うまくつかいましょう。
価格は時価
どうでしょう。
ちょっと考えただけで、値段を下げる方法はたくさんありますね。
コツとしては「その場で下げること」です。
なぜなら購入するタイミングを「今」にセットしないといけないからです。
例えば「クレカ払いにしたらポイントがついて実質1%安く買えますよ!」というトークはナンセンスです。
だってそれは「今」じゃなくても安くなるじゃないですか。
そもそもお客さんはそのためにクレカを作ってるわけです。
そんなものはお得でもなんでもなく、ただのスタート地点です。
価値や価格は人によって違うからこそ相対的な視点が重要になります。
「いまここまできたから、ここからがお得な話だな」という感覚です。
接客・販売において絶対的な情報はあまり使いません。
お客さんの現状に合わせて相対的に話すからこそ意味があるんです。
「この車はリッター何キロ走るから燃費がいいです」じゃなく。
「お客さんの車よりリッター何キロ多く走ります」が価値です。
全体のまとめ:慣れたらマジで売れるようになる
人がものを買うメカニズムはわかりましたか?
初心者はとにかく手探りです。
僕は手探り状態のまま放っておくのは嫌いです(嫌いな人は放っておきますが笑)。
兎にも角にも接客・販売業にも共通するやり方があるんです。
なぜ人がものを買うのか?
その理由をわかっているだけでも成長スピードが違います。
これは野球選手のバッティングフォームや空手の型みたいなもんです。
僕以外が語ると違うニュアンスになるかもしれません。
でもみんな結局だいたい同じところに行き着くんです。
だから「売り方なんて自分で考えろ」と突き放すのはただの意地悪です。
僕がここまで語ったのは「楽して売れる裏技」でもなんでもありません。
基本そのものなんです。
こういうと変ですが「安心して」学んでもらえたらなぁと思います。
基本は応用できるのが前提です。
僕が語ってきたのはパンチです。
だからまだ昇竜拳は打てません。
一口に接客・販売業といってもいろいろあります。
パンチより先は業種に合わせてご自身で考えてもらえたらと思います。
応用技はさておき、初心者はきちんとパンチが打てるようになりましょう。
慣れたらいいパンチ打てるようになりますから。
そしたらマジで売れるようになりますよ。
それでは、本日はここまでです。